「居心地がいいんだろ?!事務所に敷かれたレールの上でさ、安穏としてんだろ?与えられた餌で飼われてるだけのペットじゃねぇかよ!?」
「……っ!?」
さすがにキツい。
ライは勿論、俺やショウですら、その言葉に顔を歪めた。
否定できない事実が、尚更俺たちの胸にグサリと刺さった。
そこまで言って言葉が尽きたのか、彩都は口をつぐんだ。
楽屋の中は有り得ないくらいの気まずい沈黙。
こんな時だけ、壁時計の音がやけに大きく聞こえて、心臓の鼓動の速さを強調してきた。
「彩都……じゃあオマエの言う、俺たちの音楽ってなんだよ?」
俺は思わず口を開いてた。
ショウが視界の隅で動いた。
耐えきれなくなったのか、再びテーブル上の煙草に手を伸ばし口にくわえていた。
まだ、火は点けず、彩都の答えを待つ。
その顔が一瞬だけ苦い表情を浮かべた気がした。



