「あんな、自分たちが作りたくて作った曲じゃなくても、歌いたくもない歌詞でも、否定されると悔しいんだ?なに?もしかしてオマエらもうこの業界に染まり切ってんの?売れセンの曲で、チャートのトップ飾って、それでいいのか?」

無表情のままで、彩都の口は止まらない。
堰を切ったように溢れ出す言葉を、俺たち3人はただ聞いてるだけしかできない。

「俺たちの……、オマエらのやりたかった音楽ってこんなのだったのかよ?……っ、クソがっ!」

ガンッ!!

ライの拳が目の前のテーブルを殴っていた。

ガンッ!!

「ライ!?止めろって!!」

放っておいたらずっと殴り続けそうなライの腕に手を伸ばしたら、反対の腕で振り払われた。

ガンッ!!

3度目の音の後、噛み締めていた唇を開いた。

「ふざけんな……!勝手なこと言ってんじゃねぇ!俺だってあんな曲、歌いたくて歌ってんじゃねぇんだ!」

「だったらなんで歌ってんだよ?!なんでそんなとこで立ち止まってんだ?!」

ライも彩都も互いに鋭い視線を交わし合ったまま、目を逸らさない。