俺の問い掛けにマネージャーは苦笑い。
櫻井が答える前にライ自ら口を開いた。

「女だよ女!俺の理想そのまんまの女がいたんだよ!」

興奮してどんどん声がデカくなるライに、俺とショウは顔を見合わせ、一際深い溜め息を吐いた。

「また始まった…」

「最近治まったと思ってたのに……」

「今度は今までと違うんだよっ!マジで本物だ!」

そう力説するボーカリストに対する俺達の反応は冷たいまま。

なんせコイツの女癖はヒドい。昔っから女好きだったけど、ここ1年ほどはとっかえひっかえだ。

何度アイドルやら若手の歌手に手ぇ出したかわかりゃしない。
そのたびに事務所はそれをもみ消した。

「……で?今度はどんなアイドルなわけ?」

珍しくショウが声を掛けた。
少し長めの赤茶色の前髪を掻きあげ、切れ長の目をライに向ける。

最近はギクシャクしている二人だが、ライは気にすることなくハイなまま答えた。

「今そこで会ったんだよ!その廊下で!こう…黒髪のサラサラストレート、目がくりくりで、胸は小さめだけどスタイル良くて……」

ふと、俺はイヤな予感がしたんだ。

こんな時は俺の予感は良く当たる……。