「いや、かなりヤバかった。手は震えるし、足もガタガタだし、吐き気はするし……」
今だってほら、とライは煙草を挟んでいない方の手のひらをテーブルの上に差し出す。その手指が小刻みに震えているのがはっきり分かる。
「……よく最後まで歌えたな……偉い」
「偉いって……俺はガキかよ」
口を尖らせ、俺をじろりと横目で睨んでくるライ。
その動作がガキくさいんだっての。
そう思ったことは口には出さずに、俺はライの柔らかい髪をクシャクシャッと掻きまわしてやった。
「なっ!?ウザッ!やめろってバカ!」
「ちっちゃいなぁ頭、うらやまし~い」
「なんだよそれ?!意味わかんね……」
「……なぁ、ライ。オマエちゃんとみんなに愛されてんじゃん。よかったなぁ」
急に俺が真面目な口調になったから、ライが驚いて目を丸くしてこっちを見た。



