楽屋へ戻るなりショウの怒りの拳が後頭部に飛んできた。
「タキ!オマエあんだけ言ったのにアホが!!」
ガツン、と鈍い音の後、俺は頭を抱えながら呻く。
「悪い……どうしても集中できなくて……」
「ったく、彩都が来ることは最初からわかってただろうが、心の準備がたらねぇんだよ」
「ごめん……」
弁解の余地はない、って感じだ。
「はぁ~、今日の俺、マジで最低」
「よく分かってんじゃん」
溜め息をつきながら椅子に座り込んだ俺に、ライが横から口を出してきた。
「っていうかライこそ、よく動揺しなかったよな」
俺が隣に座ったボーカリストの小さい顔を見ながら呟くと、テーブルの上に置きっぱなしだったラークに手を伸ばす。
てかまた銘柄変わった?
「動揺なんてしまくりだったけど」
「嘘?!そんな風に見えなかった」
俺も自分の煙草を一本、指に挟んでライの顔を覗き込めば。



