VOICE・2



楽屋へ戻るなりショウの怒りの拳が後頭部に飛んできた。

「タキ!オマエあんだけ言ったのにアホが!!」

ガツン、と鈍い音の後、俺は頭を抱えながら呻く。

「悪い……どうしても集中できなくて……」

「ったく、彩都が来ることは最初からわかってただろうが、心の準備がたらねぇんだよ」

「ごめん……」

弁解の余地はない、って感じだ。

「はぁ~、今日の俺、マジで最低」

「よく分かってんじゃん」

溜め息をつきながら椅子に座り込んだ俺に、ライが横から口を出してきた。

「っていうかライこそ、よく動揺しなかったよな」

俺が隣に座ったボーカリストの小さい顔を見ながら呟くと、テーブルの上に置きっぱなしだったラークに手を伸ばす。
てかまた銘柄変わった?

「動揺なんてしまくりだったけど」

「嘘?!そんな風に見えなかった」

俺も自分の煙草を一本、指に挟んでライの顔を覗き込めば。