VOICE・2



はっきり言って、アンコールの俺の演奏はクソだった。


3曲中ずっと、頭ん中を昔の彩都の顔と今目の前にいるアイツの顔が交互に浮かんできて。
惰性で指は動くものの、そこに意志はなかった。


今までで一番最低な演奏。


くそっ、なんであんな顔してんだよアイツ!
あんなの……あんな彩都、彩都じゃねぇ!


そんな思いがぐるぐると頭の中を駆け巡って、有り得ないくらいあっと言う間にアンコールは終わってた。


気付いたら俺の指は最後のコードを弾き出していて、オーディエンスの甲高い声と、手を振る様子が目の前。


それを見て愕然とした。


……あぁ。
俺ってば最低……。