アンコールの声がウルサいくらいにステージ裏を満たしていた。
俺たちは照明がパッと明るくなった瞬間、足を踏み出す。
狂ったような歓声が俺たちを呼ぶ。
客のいるフロアまで明るく照らすその光の下、真っ先にアイツの姿を探してしまう。
果たして彩都はまだ……。
いた。さっきと同じ、俺たちから見て左側、つまり上手側の端。そこに彩都は棒立ちだった。
その目は何かを見ているのかどうか……ぼんやりとどこかを見つめていた。
アイツ……ヤバくねぇのか?
そんな不安が頭をよぎったけれど、考えてる暇なんてなかった。
マイクに注ぎ込まれた、ライのシャウトに俺の指は反射的に動き出していた。



