VOICE・2



最低でも一度はアンコールをやらなきゃなんなかった。もともとの決定事項だから。

「取り敢えず、今はライブに集中だ。余計なこと考えんのは後だ、いいか?」

ショウが言えば、ドアの向こうから聞こえてくる観客たちの叫び声が更に大きくなるような気がした。

「あぁ」

「わかった」

ライと二人して、小さく頷いてから、俺たちは文字通り、重い腰を上げた。

重い心は、まだ胸の奥に沈んだままだったけど。
ライブを、途中で放り投げるわけにもいかないから。




廊下へ出た俺たちの目の前に、ちょうど櫻井が立ってた。
突然開いたドアに「わっ!」と声をあげる。

「ちょうど良かった!今呼びに行こうと……。準備オッケーですよ」

そう言って両手で大きく丸を作るマネージャー。

「櫻井、一個頼みがあるんだけど」

ショウがそのニコニコ顔に向かって言葉をかける。