ライブ後半戦。かなりハイになってきた俺たちの音は、いつもより少しだけ走りすぎてた。
もちろん、生でやるのとCDで聴くのとテンポが変わることなんてざらにある。
相変わらず俺のギターを喰うように追ってくるショウのベースが、ムカつくくらいにイイ。
もちろん負けじと俺も右手を動かす。
――……ズレてるな、やっぱ。
微かに。本当に僅かだけど、ドラムが遅い。
「……くそっ」
大音量の中、俺は小さな呟きを吐き出していた。
やっぱアイツのドラムは切るべきだ。次のヤツを捜さないと……。
苛立つ心に流されるように、俺のギターの音色が、乱れた。
ヤッベ……。
反射的にショウに視線を向ければ、一瞬、鋭い眼光に睨まれた。
『集中しろ』
『すいません』
そんな無言の会話。
あぁ~、怖っ。
俺はさりげな~くショウから視線を外し、オーディエンスへ目を向けた。
その時。
………?!



