VOICE・2



ライブも中盤に差し掛かった頃、やっとMCが挿まれる。
ライがタオルで汗の流れる顔を拭いてから、マイクスタンドの前に戻った。


「楽しんでる?」


そのひと言に「イェーイ!」と元気な声が返ってきて、ライは満足そうに頷いた。


「今日はまず、お前らに謝りたいことがある。この前のテレビ放送、観てた?」


観てたよ、という声が大多数な中、ライのことを心配する声も聞こえてきた。


っていうか、こんな話するなんて予定にない。
打ち合わせではもうすぐリリースされるアルバムについて話す予定だったはず。


……勝手に変えやがったな、アイツ。


再びショウと視線を合わせ、俺は苦笑するしかなかった。
言っちまったもんはしょうがねぇもん。


「あの番組、楽しみにしててくれた人たちに、ごめん。俺の自己管理が悪いせいで、歌えなかった。心配してくれた人たちにも、ごめんなさい」


ぺこっと頭を下げたライに、オーディエンスがざわつく。
俺たちも、驚いた。


アイツ、そんなキャラじゃない……。