VOICE・2



疾走感のある1曲目を終え、続いて2曲目、3曲目と繋いで行く。


ライは、いつも以上に甘く、痺れるような声をオーディエンスに向けて紡ぎ出している。
当然、観客の女たちは腰が砕けたように、ヤツの姿を凝視。たまにその中に男もいたり。……コワッ。


MCを挿むこともなく、怒涛の勢いで打ち出される曲に、さすが、ファンたちは疲れた様子も見せずに喰らいついてくる。


スタミナあるよなぁ、コイツら。


感心しながら、曲の合間に水を飲む。ついでに汗だくになってる最前列の女に、ペットボトルごとそれをぶちまけてやる。


めっちゃ楽しそうにしてる顔に、ちょっとだけ嫉妬。ごめんな、八つ当たり。


そんな俺の気持ちとは裏腹に、キャーキャー騒いでペットボトルを取り合うファン。
いつも疑問なんだ。アイツら、あれどうするんだろう?