「タキ、なにそのガキ二人?」

不意に背後から氷点下の冷たさで声が掛けられた。
振り向けば無表情のショウがサングラス越しに冷たい視線を俺、いや、海斗ともう一人に向けていた。

「あっ!ショウだ、ショウ!ほら紅志!見ろよ~っ!」

……コイツ、ショウのこのオーラに気づいてねぇのかよ、マジ鈍い?

むちゃくちゃ不機嫌オーラだってのに……。

「ショウ、今日前座やってもらうPRISONERのボーカルと…え~と、そっちは?」

俺がチラリと黒髪の方へ目を向けると。

「あ。すみません、PRISONERのギターやってる紅志、です。今日は俺達なんかを使っていただいてありがとうございます。こんなバカなリーダーがいるバンドですが、よろしくお願いします」

ぺこりと頭を下げる紅志って奴は、隣のボーカリストの頭も無理矢理下げさせた。

へぇ…コイツはまあまあ礼儀正しいみたいだ。

「ん?……ってかオマエがリーダー?!」

俺はニコニコ笑い続ける海斗を指差し叫んでしまった。