VOICE・2



「何って、名刺?」

ライの視線がもう一度床上の紙切れに注げられる。

「何でアイツの名刺、オマエが持ってんの?」

その声に苛立ちが含まれたのが分かった。
ここでライを怒らせたら……やばい。

俺は短く息を吐いてから、本当のことを話すことにした。

「さっき、裏口で煙草吸ってたら会った。で、無理矢理渡されたんだよ」

「……ホントかよ?」

「ホントだって!嘘つく意味なんてねぇだろ?」

「だって、タキは前科があるし」

ライが睨むように俺の顔を見た。海斗から聞いた彩都の話のことを言ってるんだろう。

「あれは……悪かったってば!もうやらないから!」

両手を合わせて、俺が頭を下げてるとショウの低い声が間を割って聞こえてきた。

「ライ、タキの話は本当だ。俺も会ったから」