VOICE・2



胸元の名刺を気にしながら楽屋へ向かうと、すでにライとショウは衣装に着替え、ヘアメイクをしてもらってる最中だった。

鏡越しにショウと視線が合う。

「少しはすっきりした?」

いつも通りの口調で問いかけてくる声に、安心しながら、俺は頷いて自分の衣装をハンガーからはずした。
着替えようと上着を脱いだ瞬間。

「あ……」

ひらり。
ジャケットから名刺が落ちる。それは床を滑ってライの足元へ。

やっべ……。

そう思った時にはもう遅くて。

「……なに、これ?」

硬い、ライの声が鋭い視線と共に投げかけられた。