胸元の名刺を気にしながら楽屋へ向かうと、すでにライとショウは衣装に着替え、ヘアメイクをしてもらってる最中だった。
鏡越しにショウと視線が合う。
「少しはすっきりした?」
いつも通りの口調で問いかけてくる声に、安心しながら、俺は頷いて自分の衣装をハンガーからはずした。
着替えようと上着を脱いだ瞬間。
「あ……」
ひらり。
ジャケットから名刺が落ちる。それは床を滑ってライの足元へ。
やっべ……。
そう思った時にはもう遅くて。
「……なに、これ?」
硬い、ライの声が鋭い視線と共に投げかけられた。
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