ライダースを着て、下には黒地に白の文字がプリントされてるTシャツ。長い足は履き古されたジーンズとブーツに綺麗に収まっていた。
そんなすげぇ声、持ってそうには見えないけどな……。
俺が上から下まで舐めるようにチェックしているのを感じたのか、海斗は照れたように笑って有り得ない台詞を口にした。
「いやん、そんなに見つめられたら恥ずかしくって俺、タキに惚れちゃうっ!」
両手を組み合わせ、クネクネと体を揺らした海斗。
「な、にキモいことほざいてんだ、このバカッッ!!」
ドカッ!
いきなり横からゲンコツが繰り出された。
見れば長身で黒髪の男が怒りの形相で立っている。
コイツも…誰?
「いだっ!!痛いよ紅志!あ、もしかしてヤキモチ?んも~可愛い奴だなぁ」
「死ねっ!!」
バシィッ!!
「あ~また叩いた!」
「お前がふざけたこと言ってっからだろ!!」
…………何だ?コイツらふざけてんのか?
何も反応できずに目の前で繰り広げられるコントを見ていた俺だった………。