乱暴な動作で口元の煙草を掠め取られていた。
一瞬、唇に熱いモノが触れた。
「あぁ、ごめん。火傷させちゃった?」
「てめっ……!!」
意地悪く口角を上げたまま、目の前で東條は俺から奪った煙草を自分の口元へ運ぶ。
フッと軽く煙と共に息を吐き出してから、また口を開いた。
「君たちさ、いい加減抜け出すこと考えたほうがいいよ。大衆受けするだけの音だったらライくんだけいれば十分だよね?音楽業界の型にはまったまま満足してるだけだったら、そのうち潰されるよ」
「は……?」
いきなり何を、って思った。
でも、すぐにその意味を理解して、俺は愕然として東條の顔を見つめるしかできなかった。
「だってそうでしょ?今だって曲は勝手に変えられちゃうし、歌詞は代筆?そんなのバンドでやってる意味ないだろ?」
「………」
あまりに的を射すぎてて、言い返せない。



