VOICE・2



「何しに来たんすか?また俺たちのこと邪魔しに?」

本当は怒鳴りつけて殴り倒したいのを我慢して、俺は横目で睨みつけてやる。
しかしそんなのお構いなし、といった様子で東條は笑う。

「人聞き悪いなぁ、僕は君達を応援してるんだってば」

「信用できねぇなぁ」

ゆっくりと紫煙を空に向けて吐き出す。
少し肌寒い風が足元を駆け抜けた。

東條は空気に溶ける煙を目で追い掛けながら、口を開く。

「ライくん、今日は歌えるのかな?」

「さあな……アンタには関係ねぇだろ、んなこと。だいたいライが歌えない方が嬉しいんじゃないの?」

テメェが仕向けたことだろうが。

そう言いたいんだけど、下手なこと言ってまた何か因縁つけられたくもないから黙って視線を送るだけにしておいた。