VOICE・2



ショウはライの隣に並んでマイクに向かってた。

目を見張るボーカリストの横で、端正な顔のベーシストは平然とした表情でメロディーをその唇から紡ぎ出していた。



……な、なんだ?



ギターを弾く手を休めてしまわないよう、指先に力を込めながらも俺の視線はショウに。

有り得ない目の前の状況に、たぶん俺の口は開けっ放しだ。限りなくマヌケな顔だろう。

でも、そんな自分の顔なんて気にする余裕もなく、俺は演奏を続けるだけで精一杯だった。

……ショウの歌声、初めて聴いた……。

普段のヤツの声から想像するまんまの、低くて背中にゾワゾワくる歌声。

ライのとは全く違う。

とにかく、演奏を止めるわけにはいかない。俺はリハ通りギターを弾き、カメラに視線をくれてやる。

その間もライは歌うことが出来ず、ただ戸惑った表情のまま正面を見つめたままピクリとも動かない。