VOICE・2



「ライ、オマエ大丈夫か?」

俺は小声でその横顔に問いかける。

「……あぁ」

ちらり、視線だけを寄越したライはマイクスタンドの前に立った。

……やっぱ目ぇ合わせてくんねぇか…。

その顔をジッと見つめる。さっきから幾分か顔色が悪い気がするのは気のせいか?

俺はライの向こう側でベースの準備をするショウに、ちらりと視線を投げた。しかし、ショウは小さく肩をすくめるばかり。

生放送ってのはとにかく余計なことしてる暇なんてない。当然、ゆっくりライに声を掛ける暇なんてないから、仕方ないんだけど……。

テレビスタッフの声が掛かる。

司会者の女の高い声が響いた。

「それでは、Crimson Scarで“game”です。お聴きください」





数秒後。

俺は無理矢理にでも生放送ボイコットしてれば良かったと、本気で思った……。