「ライ、オマエ大丈夫か?」
俺は小声でその横顔に問いかける。
「……あぁ」
ちらり、視線だけを寄越したライはマイクスタンドの前に立った。
……やっぱ目ぇ合わせてくんねぇか…。
その顔をジッと見つめる。さっきから幾分か顔色が悪い気がするのは気のせいか?
俺はライの向こう側でベースの準備をするショウに、ちらりと視線を投げた。しかし、ショウは小さく肩をすくめるばかり。
生放送ってのはとにかく余計なことしてる暇なんてない。当然、ゆっくりライに声を掛ける暇なんてないから、仕方ないんだけど……。
テレビスタッフの声が掛かる。
司会者の女の高い声が響いた。
「それでは、Crimson Scarで“game”です。お聴きください」
数秒後。
俺は無理矢理にでも生放送ボイコットしてれば良かったと、本気で思った……。



