VOICE・2



「ほら、図星」

ショウが意地悪く笑う。

「………」

なんて言ったらいいのか全然分からなくて、俺は無表情のままショウの整った顔を見つめてた。

確かに。
俺はあの歌声に衝撃を受けた。
あの歌声にヤラれたと思った。

正直、ライの歌声が霞んだ気も、した……。

だけど――。

「ショウ、俺は…」

「あーいい、いい。聞かなくても分かる」

ショウは俺の言葉を遮るように軽く右手をひらひらとさせ、苦笑い。

「オマエはもちろんライの声も好き。だけどあのガキの声にも魅力を感じてる、だろ?……ま、正直俺もあの声は欲しい」

「ショウ?」

「んな変な意味じゃない。俺はライの声を手放すつもりはないよ、アイツの声は俺たちの理想の声だ。ただ今は……」

そこまで言ってショウが言葉を濁した。いつの間にか俺たちは楽屋の前まで来てしまっていたから……。