「ほら、図星」
ショウが意地悪く笑う。
「………」
なんて言ったらいいのか全然分からなくて、俺は無表情のままショウの整った顔を見つめてた。
確かに。
俺はあの歌声に衝撃を受けた。
あの歌声にヤラれたと思った。
正直、ライの歌声が霞んだ気も、した……。
だけど――。
「ショウ、俺は…」
「あーいい、いい。聞かなくても分かる」
ショウは俺の言葉を遮るように軽く右手をひらひらとさせ、苦笑い。
「オマエはもちろんライの声も好き。だけどあのガキの声にも魅力を感じてる、だろ?……ま、正直俺もあの声は欲しい」
「ショウ?」
「んな変な意味じゃない。俺はライの声を手放すつもりはないよ、アイツの声は俺たちの理想の声だ。ただ今は……」
そこまで言ってショウが言葉を濁した。いつの間にか俺たちは楽屋の前まで来てしまっていたから……。



