「アレ?自覚ない?」
「は?自覚ない?」
まるでオウム返し。
目を点にしてる俺を、ショウは呆れたように目を細めて軽く睨み付けてきた。
な、なんでそんな顔してんだよ?!
「タキ……オマエ、今ここでライの歌とあのガキの歌、どっちが好きかって訊かれたらなんて答える?」
「え………」
ライと海斗……の歌?
思わず立ち止まって、俺は二人の歌声を思い浮かべた。
でも、俺が口を開くより早くショウが言葉を継ぐ。
「オマエ、今、海斗の歌のが好きだろ?」
「な……んなことっ!!」
そんなわけない。
そう言いたかったけど……。
言えなかった。



