VOICE・2



俺は苦笑する海斗と、キョトンとしたままの歌夜に軽く手を振って、楽屋に戻ることにした。

アイツらのおかげて少しの間だけ忘れることができてたけど、俺達には頭の痛くなるような問題が目の前に横たわったままだった。

「あぁ~、戻りたくねぇなぁあの部屋」

「もしかして仕事放棄?」

急に背後から低い声で囁かれた。

「?!」

驚いて振り返った俺の目線の先、数センチ下がった所にある鋭く強い瞳と視線が絡まった。

「なんだショウか……。てかビビらせんなよ、オマエの声は心臓に悪いんだっての」

「なんだよそれ?意味わかんねえ」

くすくすと口許を緩めるショウは、いつもと変わらない様子で立っていた。

「オマエどこ行ってたの?」

ライを楽屋に連れて行った後、コイツがすぐにいなくなったことを思い出して訊いてみる。