VOICE・2



「あ!海斗いたいた!もー何してんの?みんなで探してたんだから……って、タタタタタキ!!!」

「……いい加減に慣れてくれない?」

俺は呆れた顔で声のした背後を振り返る。
そこで目をまん丸にしてるのは、もちろん今の今まで噂をしてた張本人。

「ごめんごめん、歌夜~、俺の笑顔に免じて許してちょ」

「うっ!!しっ、仕方ないなぁ、今回だけだからね!」

女を悩殺するだろう海斗の笑顔に、歌夜は顔を赤くしている。

……十分奪い取れる可能性はありそうなのにな。

目の前でじゃれ合う二人を見ながら、俺はその黒髪のさらさら揺れる小さな頭を見下ろして声を掛けた。

「なぁ、歌夜ちゃん?なんでライにメアド教えたの?」

「え?あぁ、だって教えてって言われたから」

当然って顔で答えを返したその顔は、キョトンとして俺を見上げていた。

「……え、理由それだけ?」

「はい。そうですけど……え?なんか間違えました?」

……とんだニブちんだ、この女は……。

「歌夜、警戒心なさすぎだよ……」

海斗が一つ、小さな溜め息を吐いた。