VOICE・2



「てことは、紅志?」

「んーまぁ、そんなとこ」

海斗はベンチに座ったままガックリと肩を落としてから顔だけ上げて、俺を見た。

「タッキー、できたらライに言っといてよ、……歌夜に手ぇ出したら、俺マジで許さないから。って」

満面の笑みを浮かべて言う海斗の瞳は真剣だった。

その目を見て感じた。コイツは多分、いや絶対にあの女に惚れてんだろうって。

「……オマエもたいがい損な性格してんのな」

「あは、ばれた?」

あっけらかんと白状するその様子は、逆に痛々しい。

「何年我慢してんの?」

「ん?たぶん……2年ぐらい?」

「長っ!!長すぎだろオマエ」

「俺、気は長いほうだからねー、平気」

苦笑する海斗に、俺もつられて苦笑いを返す。

「獲っちゃえばいいのに」

「無理無理。俺は歌夜も紅志も大好きだからさぁ。あ、もちろんケイもだよ」

そう言って笑った顔は本物の笑顔。