VOICE・2



「オマエ、いつも楽しそうでいいなぁ~……」

溜め息と共に、思わず本音が漏れる。

コイツらのバンドは、いつだって楽しそうな音楽を奏で、いつだって笑顔でじゃれ合ってる。そんな彼等の関係は、今の俺たちには過去のものだ。

「羨ましいよ、まったく……悩みなんてなさそうでさ」

フッと、自分を笑うように笑みを零せば、俺を見下ろしていた海斗が、どさりと隣に腰を下ろした。

「それは違う」

「え?」

「それは違うよ、タキ」

いつの間にか海斗の真剣な顔が目の前。その瞳はいつもよりも少しだけ鋭く光っていた。

目にかかりそうな前髪の下、濃い茶色の目がジッと俺の顔を覗き込んでくる。

「俺たちにだって、悩みも問題も山積みだよ。今だって、結構大変なの。でもさ」

そこで一度言葉を切った海斗は、スッと俺から視線をはずし、正面を見る。
それを目で追った俺は、その横顔の意外にも苦しそうなことに驚いた。

コイツでもこんな辛そうな表情するのか……。