VOICE・2



まあでも、何事もないならないに越したことはないか。

そう思いながら、俺たちもそれぞれ軽く頭を下げて席を立った。

「あー終わったー。やっぱ俺インタビューって苦手」

ライがグッと両腕を伸ばしながらぼやく。
それを見ながら俺も頷いた。

「だな。音楽の説明なんて、言葉で言えるかっての。聴いて分かってくれよって感じだな」

「そうそう、文章読んでいくら情報入れたって、耳で聴くのとは大違いだよなぁー」

「うんうん」

ぼそぼそとしゃべり続ける俺たちの背後、ショウがクスッと笑うのが聞こえた。

「なんだよ?」

ライがムッとしたように振り向くと、そのふくれっ面を見下ろすショウが面白そうに口を開いた。

「いやぁ、ライもなかなかいいこと言うなぁと思って感心してただけ」

「……馬鹿にしてんだろ、それ」

「あ、勘も鋭くなってる。成長したんじゃね?」

あーあー、完璧にからかってる、コイツ。

ニヤリと嫌味な笑みを浮かべてるショウと、今にも頭のてっぺんから湯気を出しそうなライを交互に見ながら、俺は苦笑い。

そんな俺たちが部屋を出ようと、櫻井が開けてくれたドアへ向かった時だった。





背後から、東條の声。