「――で、今回のアルバムはテーマとかあったのかな?」
当たり障りのない質問をいくつか投げかけてくる目の前の男は、ついこの間のことなんてなかったみたいに自然に振る舞っていた。
……今日もまた何か言ってきたら今度こそボコボコにしてやる。
心の中で物騒なことを考えながらも、ここは一応にこやかにインタビューに答えてやった。
東條の質問にショウがすらすらと流れるように答えていくのを、俺は横目で眺めながら、その更に向こう側にいるライに目をやっていた。
インタビューが始まってからずっと強張ったままのライの顔は、未だに無表情のまま。
また何か言われるんじゃないかって、警戒してるのがまる分かりだ。
しかし、そんな心配も杞憂に終わった。
「じゃあ、今日はこれで。ありがとうございました」
さらりといい放った東條は、椅子から立ち上がってぺこりと頭を下げた。
あれ?なんか……あっけない。
肩透かしを食らったようで、納得がいかなかった。



