VOICE・2


「ところでさ、今日の取材またアイツなんだってな」

「アイツって?」

俺が呟けば、ライが怪訝な顔で問い返してきた。その顔をジッと見ながら俺は答えてやる。

「東條」

「げ」

途端に不機嫌な顔になるライと、あ~、と小さく声を出すショウ。

「「最悪」」

お、息が合ってんじゃん。

「マジで?なんでまたアイツなの?俺あんなヤツと二度としゃべりたくねぇんだけど」

ライがポケットから煙草を取り出す。
いつの間にかラッキーストライクじゃなくて、キャメルになってる。また女変わった?

「あー、なんか櫻井がアイツどうもコネがあるらしいとか言ってた。今日のも無理にねじ込んだっぽい」

「はぁ~?なんだよそれ、ムカつく」

煙草に火を点けたライは、フッと勢い良く煙を天井へ向けて吐き出した。
そのゆらゆらと消えていく煙を見上げながら、俺は呟いていた。

「なーんか、ヤな感じだよなぁ……アイツ」