VOICE・2



結局、真面目な話をする雰囲気にはならなくて、俺たちはそのままテレビ局に到着してしまった。

あーできれば早く話したかったのに。

本日何度目かになる溜め息と共に車を降り、俺とライは櫻井について楽屋へと向かった。

「はよー」

「おう」

俺とライが楽屋のドアを開ければ、すでに中にはショウが寛いでいた。

「あー、おはよ」

「なに、ショウだけ仕事だった?」

俺が訊くと、煙草の灰を灰皿に落としながらショウは頷いた。

「あぁ、中野さんとちょっとね。シングルカットする曲、決まったからって」

俺たちがこの間までスタジオで作ってたニューアルバムに先駆けて、一曲シングルとしてリリースするのが決まってる。

その一曲が決まったらしい。
ていうか、それを決めるのだって本当は俺たち自身でしたいんだけど。
だって自分たちの曲なのに、俺らで決められないって正直イラつく。

デビューした頃は結構自由にやってた。けど、やっぱり例の彩都のことがあってからは、俺たちは事務所の言いなりだ。
頭が上がらない。




歯痒いんだ。