もう一度、深い溜め息を吐いてからショウは一気にグラスを煽った。
ゴクリ、と強いはずの焼酎を無表情で飲み込んでから空になったグラスを手のひらの中で弄ぶ。
「ってか俺ら、すげぇ馬鹿だな……」
「え?」
ショウの口から自分が考えてたのと同じ単語がこぼれて一瞬目をまるくする。
「馬鹿だろ、俺たち……彩都のこと腫れ物みたいに扱って、そんな状態のアイツに気付かないままで……そっとしておくのが一番だなんて言ってさ…」
馬鹿だよ。
そう再度呟いたショウはゆっくりとグラスをテーブルに戻して、また煙草に手を伸ばす。
さっきから何本目?ここにいる間に一箱なくなるんじゃないかってくらい、早いペース。
つまり、それだけコイツが動揺してるってこと。
顔には出さないけど分かった。
よく見れば微かに震える指先と、僅かに寄った眉で。



