「彩都さぁ……」
「ん」
「精神的にヤバかったみたいで…、怪我してバンド辞めただろ?その時はまだよかったんだけど、半年くらいしてからだんだんヤバくなってったらしい」
少しだけショウの目が見開かれるのがわかった。
俺はそれを見ながらゆっくり言葉を続ける。
「手、上手く動かないのに無理矢理ドラム叩いて、また腕痛めたり……。毎日酒飲んで部屋から出てこなくなったり、暴れたり…、あのジャケ写は珪甫って奴が無理矢理アイツを引きずり出してきて撮らせたらしい……」
一瞬、言葉が詰まって出てこなくなった。そのタイミングでショウが小さく息を吐き出す。
「……俺たちが考えてたよりアイツのダメージが大きかった。ってことか」
「あぁ……無理してたんだよアイツ」
ふと、最後に彩都に会った時の事を思い出した。
痛々しく包帯を巻かれた腕を抱えながら笑ってた彩都。
『俺がいなくてもお前ら大丈夫だろ!俺の分まで頑張れよ!』
そう言って虚勢を張っていたんだってのに今更気付く俺たちは、とんでもない馬鹿で間抜けだ。



