東條の質問は特に変な内容ではなかった。ごく普通のありきたりなもの。

なんだ、普通じゃねぇか。ライのヤツ、なんであんなに怒ってたんだ?

不思議に思った俺だった。

でも……ある問いに、俺は固まった。

「そういえば、昨日の路上ライブはいかがでした?」

「……は?」

なんでそんなこと……?

目の前の男の口から出た“路上ライブ”って言葉に耳を疑った。

昨日の今日で……情報早過ぎだろ?!

その瞬間気付いた。
ライのあの反応……。

「あんた……ライに話したのかよ?」

東條の口元が緩く上がる。

……コイツわざと……っ!

言葉が出てこない俺を不敵な笑みを浮かべたまま見つめ、東條は話を続けた。

「彼は思った通り、子供っぽいね。君が他のボーカリストと路上ライブしたって知ったらいじけちゃった」