VOICE・2



この日は雑誌の取材が何本か入っていた。
撮影しながら交代で一人ずつインタビューだった。

「初めまして、『GLARE』の東條といいます」

そう名乗って手を差し出してきた記者は、セルフレームの眼鏡を掛けた若い男だった。

「グレア?初めて聞く雑誌ですね」

ショウがにこやかな笑みを浮かべながら問いかけると、東條は照れたように短く切った茶髪の頭をポリポリと掻いた。

「あ、はい。実は来月創刊の新しい音楽雑誌なんですよ」

「へぇー、アタるといいな」

ライがあまり興味なさそうに呟いた。

「ええ、結構自信あるんですよ!他の音楽雑誌にはない方向からザックリ攻めてみようかと思ってるんです」

そう答えた東條の眼鏡の奥の瞳に、何故だか俺は嫌なものを感じた。

うわ、またきた、やーな予感。
最近これ当たり過ぎで怖いんだけど……。