VOICE・2



俺は肩に掛けていたギターのストラップを外し、紅志へ差し出す。

「じゃあな。俺帰るわ」

「ん、ありがとう」

手を振る海斗と、複雑な表情の紅志に軽く手を挙げ、俺はその人だかりから足早に離れた。

出来るだけ早く、アイツの声が届かない場所まで行きたかった。





数十メートル離れ、アイツらの姿が見えなくなったところで、俺は立ち止まった。





「あぁーあ、こりゃ意外と重症だ……」





ビルの間から覗く夜空を見上げながら、呟きが漏れた。





「早く家帰って寝よっと」

ブルブルと頭を振って、海斗の声の余韻をふるい落とそうとしてみた。

……そんなんで忘れられたら楽だけど、な。





「ぅあ~っっ!畜生っ!!海斗のボケッ!」





夜の街、行き交う人混みの中、俺は頭を抱えた………。