VOICE・2



原曲よりも少し速めのテンポで、かつポップな雰囲気を足してイントロを弾いてやると、横で海斗がニンマリするのが見えた。

視線で合図すれば、彼はスッと深く息を吸い込んであの声を喉から紡ぎ出す。





耳に心地良いそのクリアボイスは、ギターの音色に乗って、駅前の広場に広がる。

通り過ぎようとする人達の足を止めた。





……気持ちいいなぁ、この声。
マイクなしでこんなに広がるなんて、最高の喉だ。

高音で少し掠れる声が、痺れるくらいに胸に響いて、一瞬鳥肌が立つ。



おぉ~やべぇ!
めちゃくちゃ……楽しい!



いつの間にか自分が楽しんで弾いていることに気付いた。

そして、この声のためにギターを弾ける、あのギタリストを羨ましく思った。

……少しだけ。