VOICE・2



サラリとハスキーな声に告げられた曲名に、海斗の唇が上がる。

「お。それいっちゃう?!」

「たまには聴きたいなと思って」

ゴスロリ女もニッと唇を笑みの形に変える。
その瞬間、あれ?と違和感が頭を掠めたけど、それは海斗の声にかき消された。

「タッキーできるよね?」

「あ、あぁ…まあたぶん」

「オッケ!じゃあ決まり。そんじゃリクエスト、翼をくださいロックバージョンで!」

その直後、海斗がカウント。

3、2、――…。

くっそ!やってやろうじゃん!

俺はギターのネックを握り直して、深呼吸を一度。

右手を弦に滑らせた。