VOICE・2






――――………。

「はぁ~い!今日は俺の相棒が遅れてるんで特別にゲスト~!!某バンドのギタリスト、タッキーで~す!!」

「……ども」

能天気な海斗の声に、俺はかぶってたハンチング帽をさらに深くかぶって、下を向いた。

バレたらどうすんだよ~っ!!

イヤ~な緊張の中、俺は海斗の隣で何故かアコギを握らされていた。
俯いたまま、少し下にある海斗の顔を睨む。

が、俺の緊張とはうらはらに、にっこり微笑みながら海斗は口を開く。

「てことで。リクエスト受け付けるよ~!聴きたい曲ある人いる?」

……リクエストだぁ?俺弾けなかったらどうしてくれるわけ?

そんなこと思ってると、海斗を囲む輪の中、最前列にいた女の子が手を挙げた。
全身黒で統一されたゴスロリファッションの彼女は、勝ち気な瞳を海斗に向け、曲のタイトルを告げる。



「翼をください」