10分位だろうか、大通りを歩いていた俺は、いつの間にか某駅の前まで来ていた。
駅前が広くなって小さな公園のようになっているその場所は、よくアマチュアバンドがライブをしていたりする。
今日もやっているのだろう、遠目から見ても、人だかりができていた。
結構な人数集まってるな、地元の人気ある奴らか?
そんなふうに野次馬たちを観察しながら、そっちへ近付いた時。
……あれ?
耳に入ってきた微かな声に、何かが引っかかった。
二歩、三歩。近付くごとにはっきりと聞こえるその声。
「……この声、まさか?!」
信じられない気持ちで、俺は集まっている人だかりの方へと足を向けていた。



