結局、歌夜のメアド手に入れといてくれよな!なんて無邪気に言うライに、しぶしぶ頷いてしまった俺は、レコーディングが終わった後、スタジオを出て夜の街をふらふらとすることにした。
「ったくライの野郎、気楽だよな…、彩都が元気だって言った途端あれだもんな…」
ついこの間までうじうじしてたくせに。
ほんと、ガキみてぇだ。
俺は相変わらず人通りの多い通りをボーっと歩きながら、周りを行き交う人込みに溜め息を吐く。
……マジでどうしよっかなぁ~。
昨日、珪甫から聞かされた彩都の現状。
ライやショウに伝えたのなんて、ほぼ嘘だった。
「今更嘘でしたなんて言ったら……だめだよなぁ、やっぱ」
チッ、と小さく舌打ちが漏れた。
時々、この面倒な自分の性格が嫌になる。



