世の中はすべからく不公平なのだ。

 例えば、だ。

 2人で1つのパンを半分こにしたとしようじゃないか。

 だがしかしそれは本当に半分だといえるのか?

 ミリグラム単位でまったく同じであるときちんと計ったのかね?

 仮に重さが同じだったとしよう。

 しかしそれはカロリーでみた場合等しく分けられているのかね?

 これがクリームパンだとしようじゃないか。

 重さが同じであってもクリームの量に差が出ているとするならばこれはもはや犯罪に等しい。

 これがビビンバであったならばどうだ。

 具の1つ1つまで、カロリーまで、均等に分けたとしようじゃないか。

 だがしかし!

 だがしかし、だ!!

 はたして均等に“おこげ”はついているのか?

 同じ米粒の数に、同じ総面積になっているのかね?

 どうだね?

 不可能だろう?

 つまり世の中は常に不公平で公平という言葉など、均等という言葉など存在しないのだ。

 なに?

 食べ物で考えるからだと?

 図形で考えろ?

 ほう。

 では紙とペンを用意したまえよ。

 そこに正方形を書いたらば向かい合った角を繋ぐように対角線を引く。

 どうだ?

 出来た直角二等辺三角形は同じ面積かね?

 ほう。

 君はそこで頷くのだな?

 本当に均等なのだな?

 答えは“否”だ!

 考えてもみたまえよ。

 その線は左右等しく紙の“繊維”に印をつけているのかね?

 無理だな。

 不可能だな。

 理論上は均一な面積を生み出しているのかもしれない。

 だがしかし、人が作り出すものは厳密に、正確に、等しい物を生み出すことは不可能なのだ!

 つまり!

 公平だなんだという言葉は理想論にしか過ぎない。

 現実にはどこにも存在しない理論上のものでしかないのだ――っておい。

 どこへいく。

 なに?

 めんどくさいとはなんだめんどくさいとは!!

 私は君が自分がいつも損ばかりをしているとか不幸だとかそういうことをいうからだな、こうして話をしてやっているのであって、おい!

 ちょっ――


――ギィィィ……バタンッ