そんな風に楽しく会話してるのに、頌歌は浮かない顔をしている。
「頌歌、大丈夫ですか?」
姫は首を傾げながら心配する。
「平気ですよ」
「最近、ずっとそんな感じですよ」
自分の事に対しては勘が鈍いが、他人に対しては勘が鋭い姫。
「やっぱ、桜先輩に隠し事は無理だな…」
「いつもと様子が違いましたからね」
「実はさ…俺、兄がいたんだ」
「兄?あの双子のですか?」
首を横に振る頌歌。
「その上にまだ、兄がいたんだ…もういないけど」
「いな、い?」
「俺のせいで、刺されて死んだ…だから、兄の代わりに俺は兄になるって決めて今まで生きてきた」
それを聞いて、シーンとなる。
頌歌は少し笑った。
「やっぱり、変だろ」
「はい、変すぎです。兄の代わりに生きる?。それでは、本当の頌歌は何所に行ったんですか。人が人の代わりに何てなれはしない
姫は大声で言った。
「だから、それぞれ個性があり違う人間になる。なのに兄の代わり?ふざけないで下さい。初めて会った頌歌は、本当の頌歌だったはずです。自分を…捨てないで下さい」


