この家族に何が遭ったのか。 如何して、頌歌は泣くのか。 理由を知っているのは、紅家の者だけ。 舞台は、3年前に遡る。 ―3年前― 1人の少女が階段を上がってくる。 そして、ある部屋のドアを思いっきり開けた。 「瑛兄ィ!朝だよ」 少女は布団を叩いた。 「…あと5分…」 「だーめ!今日は買い物付き合ってくれるって言ったじゃん」 「ん~…頌歌の為だからな…起きるか」 そう言って、青年は起き上がった。 この少女は今、確かに″頌歌″と呼ばれた。