地元唯一の大学病院に松浦は運ばれた。 彼女が緊急治療室に入ると、俺は親御さんに連絡をとった。 驚いた様子で聞こえてきた母親の声も、病院に着いた時には、とても落ち着いている様で、 俺の姿を見つけると、丁寧にゆっくりと頭を下げた。 俺も一礼するが、 父親の姿は見られなかった。 「うちの娘が、先生に大変ご迷惑をおかけしてしまい申し訳ありません。」 とても品が良くて、 どこか俺の母親と似ている気がした。