……あぁ、なんて綺麗な桜の花びら。


なんてウソ。


散る事にのみ美しさを感じる私にとって、散りも少ないこの桜は、ただの道化。


哀れさすら訴えられないピエロ。


でも、今はしょうがない。彼が私の存在を認めてくれるまで、桜から目を背けない。


見る。


見る。


逃げず、見る。


……なのにどうして?


彼は振り返る事もなく、その場を去った。