「…ありがと。」 娘はふてくされた顔で小さく呟きジャムをぬった。 …可愛げのない奴だ。 と思うのと同時に娘に“ありがと”なんて言われたのはいつ以来だろうと思いながら俺もパンにジャムをぬった。 …とりあえず、今朝の重い空気はジャムの蓋に助けられたようだ。 俺はまた娘に目をやった。 成長するもんだよな。 嬉しいような悲しいような。 「…何見てんのよ?」 「……ごめん。」 …明日も蓋が開かなくなればいいのに。 ジャムの蓋 end.