「落ち込むなよ?!」
ションボリする私に気を使ってくれたのか紅葉さんから掛けられた声は優しいものだった。
そんな彼の言葉は嬉しくもあり、
怖い…。
なにか企んでるんじゃないかと疑ってしまうのは私の性格の問題というよりは彼の性格がそう思わせるんだ。
「紫衣――。」
優しい紅葉さんの声に益々おかしいと感じてしまう。
絶対に何か企んでるに違いないって確信して振り向こうとしたら後ろからギュッと抱きしめられた。
「え…」
嘘…。
一瞬にして強張る体。
だけど背中に感じるぬくもりと共に鼻を掠めるのは三成の匂い。
ふふふ…。
そういうことね?!
紅葉さんの企み、わかっちゃった。
紅葉さんと一緒になって私を騙そうとしている三成共々驚かせてやるんだからッッ!
肩から力を抜いて抱きしめられる腕にソッと触れた。
そしてそのまま体をもたれさせるように預けたんだ。
その行動に私の正面に立つ朱里さん達の表情が強ばるのを確認してからクスリと笑って彼の名を呼んだんだ。
「三成様」