いつもの朝。
私は朱里さんと一緒に仕事場で変わらず働いた。
ゆきさんもいつも通りテキパキとみんなに指示を飛ばしている。
何も変わらなかったことが幸せだと思う。
誰も変わらないことが幸せだと思う。
平凡でも毎日がとても充実している生活。
そのことをこの時代で本当に幸せだと思えるようになった。
自分が暮らしていた時代は変化を望む人間が多かったように思う。
それは刺激を求める声だったり、楽しみを追及する声だったり
恵まれているからこそ望めることだと思う。
この時代、比べてしまうと楽しみなんて少なすぎる。
だけど私の生きた時代と違うのは人は一生懸命に生きているということ、それをとても強く感じた。
このまま何も変わらないことをとても強く望んでいる自分がとても不思議で、だけどそんな自分がとても好きになり始めていた。
今のこの生活を守りたいと思う。
ここで一緒に働き、一緒に暮らす人を守りたいと強く思うようになった。