久しぶりに大学に行くと、気怠い僕の気持ちに反して、僕の周りはざわついていた。
「おい、大河内。お前、今まで何やってたんだよ。」
そう聞いてきたのは、同じサークルの田中だ。その興奮している様子が、僕には意味不明だった。
「な、何が?」
「何がって、望だよ。望。行方不明なの知ってるだろ?」
田中は一方的に、話を続けた。
「望は行方不明で、お前は連絡取れないし、学校来ないだろ。みんな心配してたんだぜ。」
「いや、俺は調子悪かっただけだけど・・・。ところで、望って誰だ?」
僕の言葉に、田中は止まった。
「お、お前、何言っているんだよ。望だよ、お前の彼女の望。」
「彼女?」
まるで思い出せない。しかし、田中が嘘をついているとも思えない。
「あぁ、お前、ホントどうしたんだよ?」
そう言いながら、鞄から携帯を取り出した。何かを必死に探している。
「もう、どれだっけ・・・?あ、これ、これ。」
携帯の画面には、僕と田中、そして知らない女の子が写っていた。
「誰?」
「だから、ここに写っているのが望だって。」
「この人が望?」
写っているのは、僕には不釣り合いなほどかわいい女の子だ。こんなかわいい娘が、僕の彼女の訳がない。
「お、お前・・・本当にわからないの?」
僕には頷く事しか出来なかった。