いやいや、これで笑うなとかムリだから。


遠慮なく吹き出すと、健吾はブスッとした顔になった。



「笑わねぇって言っただろうがよ」


「誰も笑ってなんか……ぷっ!」


「ほら笑ってんじゃねぇか!」



顔を赤く染める健吾。


そこには、“みんなが憧れる月島健吾”の面影はない。



健吾にこんな表情をさせるなんて、いったいどんな女だろう。




「くそっ。お前に話したのが間違いだったな」



健吾はブツブツ言いながら、校舎の方へと歩き始める。


その様子がおかしくて
俺はますます愉快な気持ちになった。