「あ~あ。また1年生の授業、受けなきゃいけねーのか」
駐輪場で単車を降りた俺が、伸びをしながら言うと
「アキ、何組になったんだっけ?」
と、健吾が尋ねてきた。
「D組だけど?」
「え……マジかよ」
急に目を丸くする健吾。
どことなくニヤけているような、照れているような
微妙なその表情に、俺はピンときた。
「1-Dに知り合いでもいんのか?」
「知り合いっつーか……
おもしろい女が、一人いる」
やっぱりな。
健吾があんな顔をすることなんて、めったにないから
今回は相当、本気で気に入った女なんだろう。
「へぇ。おもしろいって、どんな風に?」
つっこんで尋ねると、健吾は目を泳がせて言った。
「絶対ぇ、笑うなよ?」
「笑わねーよ」
「……そいつ、俺をグーで殴りやがったんだ」